黒い炎
「……さ…くら…ちゃん…」
「…ん…?あっ…ごめん…鈴!」
消え入りそうな小さな声がし、桜が口にした名前に、俺の心臓がドキンと一瞬跳ねた気がした。
なんだったんだ?
得体の知れない何かに俺は戸惑っていた。
「ごめん鈴!まさか優弥と亮が居るなんて…」
「いちゃ悪いのかよ」
「悪いから言ってんの」
じっと俺の目を見る桜。
「いつも居ないのに何で最近は早く帰ってんのよ?」
まったく…とぶつくさ言いながら、鈴の手を引き部屋に向かう。
「…あ…こ…こんにちは…おじゃま…します…ゆ、優弥くん…」
「鈴、挨拶なんてしなくていいわよこんな奴に…いこっ」
「ひでー」
ペコッと亮にも頭を下げた鈴は、桜の部屋へと入って行った。