黒い炎
家庭をかえりみず仕事ばかりの両親。
社長だかなんだかしんないけど、殆ど会うことなんかねぇ。
小さな頃から、桜と俺はいつも2人だった。
そんな俺達の母親代わりだったのがハルさん。
若い頃から、綾部家でお手伝いとして働いていたらしい。
綾部家は親父を婿養子として迎え入れた。
お袋が1人娘だったから。
だから、あの2人の間に"愛"なんてもんがあるのかも疑問だ…。
いや、無いか…我が子に興味もねぇーみてぇだからな。
まぁ…そんな状況で育った俺が、まともな感情を持ち合わせてる訳もない。
ハルさんは、彼女なりに愛情を注いでくれた、それは感謝してる。
でも…一番欲した母親からの愛情に飢えて育った俺は、ひねくれ歪んだ性格になってしまった。