黒い炎

男女が身体を重ねるのに、そこに愛があるとは限らない。



あの家庭教師の女の身勝手な行為によって、"愛が無くても行えるモノ"…"快楽を得るモノ"…俺はそう認識した。



俺は間違ってる…?



『好きな女しか抱かねー』



亮は正しいのか…?



何が正しくて何が悪い?歪んでしまった俺に答えは導き出せないでいた。



『ごめんなさい』


抱き締めてくれたハルさんの腕の温もりも、歪んでしまった俺の心を正すことは出来なかった。



あの頃から俺は、深い闇の中をさ迷い続けているのかも知れない。



抜け出せない深い深い闇の中を…。



――…
……



「……い……い…おい!優弥!起きろー」



「……ん、だよ…」



いつの間にか眠っていたらしい俺は、亮に揺さぶられ目を醒ました。
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