黒い炎
「…帰ろ」
俺は重い身体を引きずるように歩きだす。
「んだよ帰んの?優弥」
鞄を肩に引っかけ、ダルそうに歩く俺に声をかけたのは、ダチの亮。
「退屈だから」
「今日は誰だった?」
ニヤニヤと笑う亮に、ため息混じりに答えてやる。
「はぁーっ…麗奈センパイ」
「またあのオンナかしつこっ!てか淫乱だな」
「彼氏君は下手くそらしいよ?」
「ぶはっ、かわいそ」
廊下の窓から中庭を見下ろせば、センパイが下手くそな彼氏くんと戯れていた。
「なーんも知らないんだろうなアイツ…幸せなヤローだよ」
くくっと喉を鳴らして、じゃれ合う2人を冷たく笑う。
「どうでもいいや…興味ないし」