黒い炎
「桜…じゃないな…」
鍋の中身はクリームシチューだった。
料理が苦手な桜。
でも今日のは…美味い。
「わかってるくせに言わないでよ…ホント嫌みなんだから」
俺を睨みつける桜がおかしくて、思わず笑う。
つられて笑った亮に、テーブルの下で桜の蹴りが入った。
「いててっ…ごめんなさい桜さん!」
桜の隣に座る鈴も、初めは緊張し強張っていたが、だんだんとその表情は和らいでいった。
「鈴…料理するの?」
そう問いかけた俺に、コクンと恥ずかしげに頷いて見せた。
「優弥…さっきから何で鈴のこと呼び捨てにしてんのよ!」
「いいだろ別に」
「年上に向かってナマイキなんだから!」
「ひとつしか違わない」