黒い炎
「わかったよネェサン?」
クスリと笑った俺を、じろっと睨みつけイーっと歯を見せる。
クスクスと遠慮がちに笑う鈴が、やけにくすぐったく感じる。
気が付けば彼女ばかりを目で追い、微笑む俺がいた。
「なんだ俺…きもちわりぃ」
ポツリ1人呟いてみる。
自分の感情の理解に悩む。
ゆるんだ頬をさすり首を傾げる優弥が、桜には気掛かりだった。
夕食後、迎えが来るから…と言う鈴を見送ることとなった。
俺達は今、自宅近くのマンションに住んでいる…あの家は広過ぎる、ハルさんもいないしな。
エレベーターを待つ俺達に、鈴が気を使い口を開く。
「あの…ここで大丈夫…だよ?」
ここでいいと言う鈴に、桜はダメ!と手をとった。