黒い炎

「いつも悪いね桜ちゃん」



爽やかに笑って見せた男。



誰だコイツ?怪訝な表情をしたのは俺だけじゃなかった。



隣に立つ亮もまた、同じような表情で男を見ていた。



「なに言ってるんですか昴さん」


笑顔で返す桜。



「おいで…鈴…」


まるで、飼い猫でも呼ぶように彼は鈴を呼ぶ。


「…お兄ちゃん」



さらりと髪を靡かせた鈴が、男のもとへと歩み寄った。


ほっとしたような表情で。



「えっと…」


"お兄ちゃん"と呼ばれた男が、少し困った様に俺達を見る。



「あ、すみません…こっちが弟の優弥で、隣がその友達の亮です」


「あぁ、弟さん?僕は 海棠 昴 <カイドウ スバル>鈴の兄ですよろしく」

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