黒い炎
「亮が…好き」
「…………」
亮は桜の返事に、無言のまま固まってしまった。
「ちょっと…なんか言ってよっ…?!」
いきなり亮に抱きしめられ、桜は戸惑いもがく。
「ちょっ、亮…」
「少し…このままでいて…俺…今すげぇ情けねぇ顔してるから…」
キツく抱き締める亮の腕の中、今の彼がどんな表情なのか桜には伺い知る事が出来ない。
「はぁーっ」っと、深いため息を落とした亮が言葉を紡ぐ。
「やべぇ…嬉し過ぎて泣きそう…だっせぇなぁ…」
桜に一途にアプローチし続けた亮。
夢にまで見た瞬間の訪れは、何にも代え難い物だった。
それを物語るように、亮は幸せにその身を小さく震わせていた。