黒い炎
本当はずっと前から亮の思いに応えたかった、自分も同じ気持ちだと。
一途な亮に惹かれていたのは確かだから。
だが、姉として弟を思うあまり、自分の思いを曖昧にしてきた。
自分だけが普通の幸せを得ていいのだろうか?
血を分けた弟が辛い思いをしているのに?
複雑な心境だった。
『桜さん会いたかったよー』
『はいはい』
何でも無いふりで軽くあしらっては、必要以上に亮に近づくのを避けてきた。
どんなに彼を遠ざけようと、亮が桜に向ける笑顔には"好き"が溢れていた。
そんな亮の"思い"が、桜にはたまらなく嬉しかった。