黒い炎

いつも、甘えたように桜に近づく子犬のような男の子。



そんな亮が何時になく真剣で、力強いのが桜には新鮮だった。


亮もまた同じように、嫉妬していたのだ。


「さっきの亮…ドキッとしちゃった」


――ふふっ、と笑った桜の横顔に、焦っていたはずの亮は動きを止めた。



「…亮?」



じっと自分を見つめる亮を不思議に思い、桜は小首を傾げた。


「…綺麗だ」


「なにが?」


「桜さんの笑顔」


「やだっ…何言ってんのよ…//」


桜を引き寄せ抱き締めた亮は、その耳元で囁くように呟いた。



「俺…ずっと桜さんが好きだった…だからっ…他のヤツのもんになるなんて耐えらんねぇって思った…」


「あたしも…亮が好きだったよ?…他の誰でもない亮が…」

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