黒い炎
亮だってずっと我慢してきた。
脈がありそうで無さそうな桜の曖昧な態度。
優弥に気を使ってるのはわかってた。
そんな2人は、手を伸ばせば触れられる距離にいた。
亮にはその距離がもどかしかった。
強引に迫り拒否されればそれで終わり。
桜の気持ちを思う、亮の葛藤は計り知れない。
しかし、"彼女を誰にも譲らない"…そんな強い思いが亮を動かす。
気づけば桜に迫り、強引に手を引いていた。
もう、後戻りはできない…亮は覚悟を決め、桜に自分の気持ちを伝えたのだ。
曖昧な距離を、はっきりとした物にさせるために。
「優弥もちゃんと人を好きになれるかなぁ…」
「見守ってやるしかないよ」
2人して天を仰ぎ、縮まった距離を確かめるように"きゅっ"と繋いだ掌に力を込めた。