黒い炎
嫌なのに…求められ反応する身体が憎かった。
身体をなぞる指先と囁く声、嫌だと拒む俺に頭の中で誰かが笑う。
『くくっ…ホントはヤりたいんだろ?…構わねぇヤっちまえよ…ほらっ…ヤれっ!ヤれ!…くっくっくっ…』
脳内に響く声に踊らされる。
『ふふっ…いい子ね…』
違う僕はいい子なんかじゃないよ!
嫌だ!嫌だ!嫌だ!
『誰か助けて…』
言えなかった誰にも。
不在の両親、年の変わらぬ姉、友達…。
気づいてくれたのはハルさんだった。
でもその時には、俺はもう壊れていた。
誰も信じない。
誰も好きにならない。
誰も愛さない。
そう、心の中で誓った。