黒い炎

優弥の心の闇にあたしは踏み込めない。



姉である前に女であるあたしが、彼の心に踏み入る事を、きっと優弥は受け付けないだろう。



時々みせるあの冷たい瞳が、それを物語っていた。



だけど、鈴に会ってから優弥がほんの少し変わった気がする。



真っ直ぐ家に帰っているようだし。



何より女である鈴を見る目が違う。



きっと本人は気づいてないだろう。



鈴に見せる笑顔、仕草、瞳…今までの優弥とは違う。



変わりゆく自分に、戸惑っているのかもしれないけど…。



鈴も優弥と同じように悩み苦しんだ。



いや、未だ苦しみ続けているに違いない。
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