黒い炎
男が側に近づくだけで、カタカタと震えだす鈴。
あたしはそんな彼女をずっと守ってきた。
あの日あんな事さえ無ければ、鈴だって愛らしい笑顔を振りまき、きっと恋愛だってしていた筈。
優弥と鈴
共に同じような暗い過去をもち、その過去に未だ捕らわれ苦しんでいる。
もしかしたら…二人の抱える闇が、互いを引き合わせたのかもしれない。
あたしはそんな風に思えてならなかった。
「桜ちゃん…ゆうやくん…今日もいるかなぁ…」
「え?優弥?…さぁ、どうだろっ…何で?」
「…ゃ…あのっ…何聞いてるんだろ…あたし…ごめんなさいっ」
無意識に口から出た言葉に、自分でも驚いたのだろう鈴は戸惑っていた。
あたしも驚いた…鈴が優弥を気にしてる事に。