黒い炎
「…なんだか…似てる気がするの…私たち…」
鈴が呟いた言葉に、あたしは一瞬戸惑った。
「…………」
「ゆうやくん…目が笑ってない…から…かな?…」
「鈴」
「なに?」
あたしは一呼吸して鈴に向き合った。
「詳しくはあたしの口からは言えない…でも…優弥も過去に捕らわれてる…」
「……っ…お…なじ…だね…わたし達…だからかな…ゆうやくんのこと…あんまり怖くない」
「鈴…優弥の事怖くないの?男だよ?」
静かに頷いてあたしを見て鈴は言った。
「少し怖いけど…でもゆうやくんなら大丈夫かな?…寧ろ…気になる…かも…?」
姉のあたしでも優弥が時々怖い。
何を考えているかわからないから。
同じ様な過去を持つ者同士なら、もしかしたらその過去を乗り越えられるかもしれない。
あたしは密かにそう願った。
<side 桜> end