黒い炎
「しつこい女は嫌いだ」
絡む腕を引き剥がし、優弥は冷めた視線を都に向けた。
「……っ…いい…嫌いでもいいもん…」
瞳にうっすらと涙を浮かべた都は、再び優弥の腕にしがみついた。
「はぁーっ…なんだよお前…わけわかんねぇ」
「………」
「お前がいると邪魔なんだけど?」
「…そんなこと…言わないでよ…」
俯いたままそう言った都は、腕を掴む手にきゅっと力を込めた。
都は優弥が好きだった。
でも…『好きだ』と言葉にして、今の関係が壊れるのを恐れた。
仲のいい友達のままでも、彼の傍にいたかったのだ。