黒い炎
『恋愛はしない主義
だから』
初めて会った時、優弥はそう言った。
優弥に特定の女がいたことはないが、身体だけの関係なら…。
優弥に続いて、空き教室に入る先輩の姿を目にしたこともある。
しかも毎回違う女。
そんな優弥を知っても、都は彼を思う気持ちが止められずにいた。
「はぁーっ…どうなっても俺はしらねぇぞ…」
「…いいもん」
俯いたまま言った都に声をかけ、優弥は歩き出した。
離れないようにしがみつく都にため息が漏れる。
正直うっとうしいし煩わしい。
都の思いは、優弥にとってただ面倒なだけだった。