黒い炎
人を好きになるなんて感情は、優弥の心の奥底で暗い闇に紛れて深い眠りについていた。
そんな彼が都の思いに気づく筈がなかった。
今の優弥の中にあるのは、鈴の兄…昴に対しての嫉妬心。
そしてその嫉妬心が、深い眠りについていた感情を揺り起こそうとしていた。
―――…
――…
結局…都を連れて暫く街を歩いただけ。
渋る都を家まで送り、優弥も大人しくマンションへと戻った。
街を歩く2人を見つめていた人影に、気が付かないまま…。