黒い炎
「お兄ちゃん?」
「なんでもないよ、それよりどうする?」
「もちろんお兄ちゃんと出かけるわ」
「そう…なら明日は学校まで迎えに行くよ」
ポンと私の頭に手をやり、にっこりと微笑むと自室に消えて行った。
家にこもりがちだった私に気を使い、兄はいつも私を外に連れ出してくれていた。
男の人が怖い…正直、血の繋がった兄ですら怖いと感じていた時もある。
そんな私をほおってはおけなかっのか…?
"兄である"と言う責任感からの行動であろうか?
それとも…あの時の事を悔やんでいるからだろうか…?
すくなからずも兄のその優しさに、救われていたのは確かだった。