黒い炎
化け物にでも遭ったかのように恐怖に怯え震える女。
震えるその身体を抱き締める彼女を前に、俺の中の何かが動き出していた。
「あの…桜ちゃん…あたし…ごめんなさい…びっ、びっくり しちゃって…」
まだ強張る顔、か細い声で桜に謝る彼女から目が離せない。
「あたしこそごめん!まさかコイツが居ると思わなくて」
桜は眉間にシワを寄せて、俺をギロリと睨みつける。
「話しかけようとしただけだけど?」
「鈴は男ギライなの!!近寄るな汚らわしい」
「汚らわしいって…てめぇの弟だろーが!!」
「なによー」
「はぁー…」
「あ、あのっ!さく…らちゃん…」
ぎゅっと桜の制服の裾を持ち、遠慮がちに声を発する。