黒い炎
そっと触れた彼の腕。
掌から感じた彼の逞しさに、驚きパッと彼から離れようとした。
しかし、私が離れようと手を離すより先に動いたのは彼だった。
何かを感じ取った彼は、自分から離れようとする私の手をギュッと掴んだのだ。
「……?!…やっ…」
掴んだ手を引っ張り私を引き寄せた彼は、その逞しい腕にすっぽりと包み込んでしまった。
突然の出来事に驚き動けなかった私だが、閉じ込められた腕の力と汗の匂いが思考を狂わせる。
「…っ…いやっ…はなしってぇ」
嬉しい?怖い?
ワケが解らず混乱状態の私は、彼の腕から逃れようと必死でもがいていた。