黒い炎

「やっ…だっ…いっ?!」



離れようと胸を押した私の、手首を掴んだ彼の力の強さに、思わず目をキュッと閉じた時だった。



「…ん…んーっ…やめっ…んっ…やぁ…」



突如奪われた唇。



キスくらいは知っていた、何となく耳に入る友達の話しで。



「お子ちゃまの鈴にはまだ早いよ?」



なんて友達の言葉に、自分自身も納得していた。



私には関係ない…なんて思いながら彼女達が話す事を、曖昧に聞き流していた。



なのに…この状況は何なのか?



よく知りもしない恋人でもない男に、キスされている。



押さえつけられた力強さに、恐怖がこみあげ胸を押す掌に力がこもる。

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