黒い炎

何も言えずただ彼を見上げた私を、真っ直ぐに見つめて言った。



「好きだ…」



「………ぁ…」



ふっと力が抜けた私の頬を撫でると、今度はゆっくりと唇を重ねた。



初めての告白に、初めてのキス。



夢見心地の鈴は思っていなかった、彼がキスの先まで望んでいたなんて。



保健体育の授業で習った男女の性行為。



自分が体験するなどまだまだ先の話…あの時の私はそんな風に思っていた。



なのに…触れるだけだった口づけは深くなり、なぞられた歯列にピクンとその身体は跳ねる。



"思ったより気持ちいいかも…?"


ぼんやりとする頭の中で、そんな風に感じていた愚かな私がいた。

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