黒い炎
開いた胸の辺りから、スルリと忍ばせた掌は腰を滑り内股を撫でる。
その感触に、ぼんやりとしていた意識が、現実へと呼び戻される。
恐怖を感じた私は、グイッと彼の胸を押す。
「…い…やっ…!」
じたばたと手足をばたつかせる私を、彼はまた強く押さえつけた。
「暴れんなよ!」
「…ひっ……うっ…やぁっ…お兄ちゃん …お兄ちゃん!!…」
いつもの彼からは想像できない低い威圧的な声。
更に恐怖が増した私は、助けを求め大声で居もしない兄を呼んでいた。