黒い炎

大声を上げ手足をばたつかせるわたしを、押さえつける彼の眼は普通では無かった。



「…やぁっ…」


「しずかにし…」


彼が口を開いた時だった。



「あなたっ…なにしてるの!!…お、お嬢様?!」



お手伝いの一人が声を荒げ駆け寄ってきたのだ。



その声から、"華さん"と言う慕っているお手伝いさんだとわかった私は、彼女に助けを求めていた。



「…は…な…さん?
…たすけてー」


「お嬢様!」


女性ではあるが体格のよい彼女は、私に覆い被さる彼を勢いよく引き剥がした。



「うわっ…」



ふっと彼の重みが消えたと思ったら、柔らかな温もりに包まれていた。

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