黒い炎

鈴にあんな眼差しを向けさせるアイツが、俺だって気に入らないってのに…。



「はぁーっ」



深い溜め息をもらし、椅子に腰掛けた昴は目を閉じた。



そう言えば以前、浮かない顔をした桜ちゃんが言っていたな…。


『私の弟も難しい子なんです…色々あって…多分きっと私にさえ距離を置いてる…鈴と似てるのかもしれないです…』



鈴の事を理解してくれている彼女もまた、同じような悩みを持つ者なのだと聞かされ、その弟に興味を持ったのは確かだ。



『鈴と似てる』


彼もまた人と距離を置き、心を閉じるのか。



彼が鈴を気にしているのは確かだ。



じゃなきゃ…あんな眼で俺をみるばずがない。

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