竜王様のお気に入り
ハクリュウが、今やセイリュウ王さえも凌ぐ、絶大な力を行使したのだ。

現竜王陛下セイリュウ王に向けて。

雷雨と重力を制御し、風を使い、炎を巻き上げ・・・。

勝敗が決するのに、さほど時間は要さずに、竜王陛下の肢体はあっけなく、消失した。


そして、即位も何もないままに、ハクリュウは性急にコハクを求めた。


ハクリュウは、コハクの体を一直線に天に向けて、自らの体を巻きつけた。

ずっと与えられずに、乾いていた生気が満ちてくる。

そしてハクリュウは、それをそのまま民たちへと降り注いだ。

風に乗せて、雨に乗せて。

コハクの生気が尽きるのも、気づかずに。

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