竜王様のお気に入り
・・・コンコンコン


という音に、ヤヨイはビクッと僅かに肩を上げた。


「たぶん、コウリュウ様かと思われます。
ここで話すようにと、指示を出されたのは、実はコウリュウ様なのです。」


イオリは落ち着いてヤヨイに説明する。


「そ・・・そうなんですか?」


ヤヨイは複雑な表情をした。


ハクリュウの部屋で、コウリュウから向けられた視線を思い出すと、とても自分に好意があるとは思えなかった。


またあの視線で

『人間ごときに』

と、言われるかと思うと、気が重い。


コウリュウさんじゃなくて、ハクリュウが来てくれればいいのに・・・。


と、思ってしまった自分に、ヤヨイは少しだけ驚いた。


無意識の自分の心は、ハクリュウに対して、もうかなりの信頼を寄せているみたいであったのだ。

< 117 / 279 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop