竜王様のお気に入り
二人のやりとりを、直ぐ横で聞いていたイオリは、嫌な予感を覚えた。


「コウリュウ様。
ヤヨイ様には一先ず、竜王陛下の元に、お帰りになっていただくのがよろしいかと。」


それはヤヨイのための言葉ではなく、コウリュウのための言葉であった。


ハクリュウのお気に入りの娘を、勝手に扱うなんて許されるはずはなく、そんな事が知れたら、今度は壁に飛ばされるだけで、済むはずがない。


頭を下げたまま、イオリはコウリュウの言葉を待つ。


「ふっ・・・。
お互い様だとは思わないか、イオリ?
最後にコハクの味をみたのは、誰だったろうな・・・?」

< 120 / 279 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop