竜王様のお気に入り

もしかして復讐だろうか？とイオリは考えたが、コウリュウはそんな事をする人物ではない。


とても誇り高き龍である。


今の言葉を理由にして、本当はヤヨイを側に置きたいだけなのかもしれない。


コハクと同じ色の瞳をした人間を。


－－－。


気高き龍の一族は、みな漆黒の瞳を持っていた。


突然変異であろうか。


龍の一族にあってコハクだけは、漆黒の瞳を持たずに生まれた。


ハクリュウはそんな妹を、特に気にしてはいなかった。


だがコウリュウは、妹を偏見から守るため、よく面倒を見ていたのだ。


そんな二人に、特別な感情が芽生えても、不思議はなかった。


コハクと同じ、いわく付きの瞳の色を持つ者に、好むと好まざるとは関係なく、コウリュウが興味を抱いてしまうのは、仕方のない事かもしれない。


しかしそれは、あまりにも危険な感情であった。