竜王様のお気に入り
「イオリ。
アンジェの移動は終わったのか?」


「・・・・・えっ!」


「どうなんだ?」


一瞬返答に詰まったイオリを、コウリュウは急かした。


「完了しております。
ですが・・・まさか・・・コウリュウ様?」


「さすがにイオリだな。
言わずとも分かるか?」


「本気にございますか?」


イオリに有無を言わさない、コウリュウの言葉。


従わざるを得ないのか・・・。


イオリが少し唇を噛む。


その時。


「ヤヨイ。」


コウリュウの背後で、一つの影が、優しい声を発した。


ヤヨイは自分の名を呼ばれて、コウリュウの向こう・・・声のした方に視線を移す。

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