竜王様のお気に入り
粛々と準備は整っていく。


榊で身を清められ、台座に横たわるように促されたサツキは、意を決して従った。


「姉様。大丈夫だからね。
私が側に居るわ。」


不安で、泣き出してしまいそうなサツキを励まそうと、サツキの隣にひざまづき、ヤヨイは耳元で囁く。


『付き添い役として、竜王様に失礼のないように、姉様をきちんと渡さないと。』


ヤヨイは、ごくりと息を飲んだ。


---。


寸分違わず、準備は整った。


父が事前に取り決めを交わした約束の時刻。


巫女と付き添いを残して、皆、丘から離れた。

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