竜王様のお気に入り
ヤヨイはハクリュウの一途な想いが、少し意外だった。


その一途な想いは人間にしてみれば、はた迷惑な話である。


今まで何人の巫女が生け贄になってきただろう。
天候を守ってもらう為と信じて。


「セイリュウ王は違ったの?
王妃様を愛していたんじゃないの?」


「アイツはコハクを手にいれる為に、邪魔だった王妃を毒殺したんだ。
王妃の急死は、病死なんかじゃない。
そんなアイツに、大事な妹を渡す訳にはいかなかった。
あの手この手でコハクに近づいて、遂には力づくだ。
アイツの立場を考えて、下手に出てやってたのに。
・・・あっ!
これ内緒ね。俺しか知らない事だから。」


そう付け足して、ハクリュウは笑った。


そういえばイオリは言っていた。


セイリュウ王とハクリュウは、何度も密会していたと・・・。

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