竜王様のお気に入り
「だからハクリュウは、セイリュウ王を殺してしまったの?」


「最後の手段だった。
何度も説得はしたんだけどね。
でも結局あいつは、俺に見つからないように、無理矢理力でコハクを襲ったんだ、未遂だったけど。
でも、あんなに説得したのに、俺の妹に手を出したんだ。
当然の報いってやつだろ。
許せなかった。」


ヤヨイはベッドから下りて、ハクリュウの座る豪奢な白い椅子に歩み寄った。


ヤヨイはハクリュウの横に立ち、静かにハクリュウの頭を自分の胸に持たれかけさせる。


ハクリュウはそっと瞼を閉じて、ヤヨイの気持ちを受け入れた。


「たくさん辛い思いをしてきたんだね。
言いたい事も言えないで、自分を押し殺して。
孤独だったね。」


穏やかなヤヨイの言葉に、ハクリュウは愛しさと安らぎを感じていた。

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