竜王様のお気に入り
しばらくの間、ゆっくりとした空気が流れ、二人を包んでいた。


特に会話は無かったが、その静寂が今は心地よかった。


ヤヨイは撫でていたハクリュウの髪から手を離し、確認するように問いかけた。


「そういう理由なら、ハクリュウはもう、人間の生け贄を望まないの?」


ハクリュウはヤヨイから、もたれていた頭を戻しヤヨイを見上げた。


漆黒の瞳でヤヨイを見つめる。


「この先ヤヨイ以外の何人をも、求める事はない。
・・・誓うよ。」


ハクリュウは、真剣に答えた。


そしてどちらともなく二人は唇を寄せ・・・。


重ね合わせた。

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