竜王様のお気に入り
紅を基調にした内装に、橙色と金色と黒が差し色になっていて、炎を連想させる部屋がある。


言わずと知れた、コウリュウの部屋だ。


コウリュウはしなやかな足取りで、部屋の中をうろうろと歩き回っていた。


腕組みをして、何やら難しい表情をしている。


思いを巡らせながら、考え事をしているようだ。


「コウリュウ様。
お茶を召し上がってはいかがですか?」


イオリがコウリュウの為に、香り豊かなお茶を運んで来た。


食べ物を必要とはしないものの、龍も水分は取る。


好みだってあるのだ。


「あぁ。
そこに置いておいてくれ。」


コウリュウは一瞬立ち止まりはしたのだが、今は興味はないようで、またも歩みを再開した。


特に理由があってうろうろしている訳ではないのだが、かといってじっとしていても、落ち着かなかったのだ。

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