竜王様のお気に入り
コウリュウは大きく息を吐きだすと、イオリを残して自室を後にした。


多分また、コハクの部屋へ行くのだろうとイオリは思った。


ヤヨイをコハクの部屋に入れたのも、あの部屋でヤヨイにコハクを重ねたかったからではないのか。


あからさまにヤヨイを蔑んではいるが、長年コウリュウの側に居るイオリには、感情の裏返しにしか見えない。


どんなに興味を抱いたとしても、竜王陛下のお気に入りの娘とは絶対に、間違いがあってはならなかった。


イオリは、言い知れぬ不安に襲われた。


そしてそのイオリの不安は、現実になってしまいそうだった。


何故なら・・・。


ハクリュウの部屋での、二人の楽しそうな会話の中で。


ヤヨイは、これからコハクの部屋を訪れていいかと、ハクリュウにお願いしていたからだ。


そして、少し考えてからハクリュウは、ヤヨイのその願いを、叶えてしまったから。

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