竜王様のお気に入り
もどかしい程に甘い一時を過ごし、ハクリュウは満たされた生気と心のゆとりを得て、判断を誤った。


それは、ハクリュウがヤヨイを、コハクの部屋へ一人で行くのを、許してしまったという事。


民にもコウリュウにも、ヤヨイに危害を及ぼせばどうなるか知らしめてあるという、ハクリュウらしからぬ油断もあった。


後でイオリを向かわせればいいと、軽く考えてしまってのだ。


―――コハクの部屋。


ヤヨイは早まる気持ちを抑えて、静かに扉を押し開けた。


そして、目に飛び込んで来た幻想的な光景に、ヤヨイは息を飲んだ。

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