竜王様のお気に入り
ヤヨイはそっとコウリュウを伺った。


「ハクリュウが、コウリュウさんや、コハクさんの事、気にしてないわけ、ないじゃないですか。
でもハクリュウは、竜王という立場になってしまったから、誰にも何も言えなくて。
今までハクリュウは、ずっと一人で、頑張ってきたんです。」


「ヤヨイ。よせ・・・。」


ハクリュウは、ヤヨイの言葉を制した。


ヤヨイはハクリュウを見上げる。


「だって・・・。」


ヤヨイはハクリュウを労うように、言葉を続けた。


兄弟同士で、言葉が足りないばかりに傷つけあうなんて、納得いかなかった。


「ハクリュウはもう、一人で抱えこまなくていいよ。
コハクさんの事も、兄弟でちゃんと話しをしたら、いいと思うんだ。
きっと分かり合えるよ。」


ヤヨイに諭すように言われ、ハクリュウは口を閉じた。


コウリュウは怪訝そうに、ヤヨイとハクリュウを眺めている。


イオリは無表情でいたのだが、兄弟の間にどこか雪解けを感じるような、そんな嬉しさを感じていた。

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