竜王様のお気に入り
動揺を隠すことなく、コウリュウは一番に声をあげた。


「今、何と仰っいました?」


冷静なコウリュウから、余裕が消えている。


「我は、竜王ではいられなくなるのだ。」


ハクリュウの呟きに、あからさまにコウリュウの表情が代わり、全身から怒りが噴き出している。


「はっ?
突然何なのですか?
竜王陛下に、その自覚はないのかも知れませんが、ワガママも大概にして下さい。
ヤヨイを分け与えないと宣言しただけでも、大変な事になっているのですよ。
竜王を辞めるだなんて、冗談にも程があります!」


コウリュウには珍しく声を荒げて、絶対君主の竜王陛下に抗議している。


普段の冷静沈着なコウリュウなら、言葉を飲み込み、上手く対応していただろうに。

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