竜王様のお気に入り
「その通り。
悪いが、ヤヨイを分け与えたくないのだ。
でもそれは、竜王として許されぬ事であろう?
そしてもう、他の生け贄を望まないと、ヤヨイに誓った。
そう言う訳で我は今後、竜王としての責務を果たせぬ。」


コウリュウもイオリも、ハクリュウの言葉を受けて、咄嗟に答える事ができない。


たった一人のちっぽけな人間の為に。


この偉大なる天界の統一者が、こんな言葉を口にしたのだ。


竜王を辞めてまで・・・。


ヤヨイの何が、竜王陛下をそうさせるのか。


コウリュウもイオリも、皆目見当がつかないでいた。


その、当のヤヨイこそが、誰よりも困惑していたのだが。

< 160 / 279 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop