竜王様のお気に入り
「それって、私のせいなの？
だとしたら私、どうしていいのか分からないよ。」


ヤヨイは、座っていたベッドからスクッと立ち上がり、不満の声を上げた。


「あぁ･･･そうか･･･ごめん。
ヤヨイが心配するような事は、何もないからね。
俺は俺の考えに、正直でありたいだけだから。」


穏やかな面持ちで、ヤヨイにその整った顔を向け、ニコッと微笑んだハクリュウ。


その表情からは、後ろめたさや、竜王である事への執着が、微塵も感じられないのだ。


「ハクリュウは今まで、いろんな事を抱えて、大変な思いをして、がんばってきたんだよ。
そんなあっさりと、辞めるだなんて、言わないで。
私との約束が辞める理由なら、撤回してくれていいから！
ねぇ･･･。
コウリュウさんと、よく話し合ってみてよ。
ハクリュウが、竜王を辞めなくても済むいい方法が、きっとあるよ。」


ヤヨイは真剣にハクリュウに訴えた。


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