竜王様のお気に入り
ハクリュウの魅力的な申し出は、充分ヤヨイの心をくすぐるものだった。


姉サツキの代わりに天界へ連れて来られ、ハクリュウに愛でられるようになってから、そんなに日は経っていない。


ホームシックになるには、家を離れてまだ浅い日数であった。


でもやはり、家族に会いたい気持ちはある。


大好きな姉と妹。


自分は大丈夫だと、安心させてあげたかった。


竜王様に大切にされて、こんなにも幸せだという事を、教えてあげたかった。


「人間界に帰れるの?
・・・そんなことしていいの?
でも、竜王を辞める事は、もう少し慎重に考えた方が・・・。」


嬉しさと不安が、ヤヨイの頭をよぎる。


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