竜王様のお気に入り
一方・・・。


コウリュウの真紅に彩られた部屋では、イオリが薬箱を手に、いそいそと治療をしていた。


先程コウリュウが受けた、傷の手当てである。


重度の火傷になっていた。


しかし、コウリュウが苦痛の表情を浮かべる事はなかった。


何やら考え事をしているようで、痛みを感じるどころでは、ないらしい。


「コウリュウ様、終りました。
痛みませんか?」


イオリは声をかけたが、コウリュウは気づかずにいる。


「コウリュウ様?」


イオリは呆れたように、もう一度コウリュウの名を呼んだ。

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