竜王様のお気に入り
イオリは割りと、ヤヨイに好感を持っていた。


直接ヤヨイに接してみて、ヤヨイの朗らかで真っ直ぐな人柄が、どことなくコハクに通じているようにも思えたからだ。


それに、竜王陛下の劇的な変化は、間違いなくヤヨイがもたらしたものだ。


威圧的に支配する絶対的な専制君主であるよりも、時に感情のままに豊かな表情を見せるハクリュウ様で居てもらえればと、イオリは思った。


「イオリは俺の考えに、賛成してくれるものだとばかり思ってた。」


コウリュウは、少し寂しそうに目を伏せた。


「恐れ多い言葉を申し上げた事、失礼致しました。
しかしながら私は、シリュウ様は苦手でございます。
竜王でなくなる残念さはありますが、陛下にはヤヨイ様の方が、相応しいかと思います。」


少し間を開けてイオリはクスッと笑って付け足す。


「ヤヨイ様とご一緒に居られる時の竜王陛下には、私、驚かされてばかりです。」


イオリの脳裏に、頬を紅く染めるハクリュウの顔が甦り、思いだし笑いをしてしまうのだった。

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