竜王様のお気に入り
「よく来てくれた。
早速で悪いが用件を言おう。」


コウリュウは、シリュウの挨拶になど全く興味なさ気に、淡々と話を始める。


「シリュウ。
王妃にならないか?」


「・・・・・!
コウリュウ様?
今何と・・・仰いました?」


さすがのシリュウも、この申し出には驚いた。


「王妃だ。
竜王陛下の、妃にならないかと言った。」


「ま・・・まぁ・・・!
何というお申し出でしょう」


シリュウの頬が紅潮している。


妖艶な美しさをもつ王弟も欲しいが、天界の長たる雄々しい竜王の方が、断然いいに決まっている。


権力はシリュウの大好物であった。


断る理由なんて見当たらない。


「あたくしならば、誰よりも王妃に相応しいと存じますわ。」


嬉々としてシリュウは捲し立て、二つ返事でコウリュウの申し出を承諾した。


・・・こうして舞台は整えられた。

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