竜王様のお気に入り
空回りの王妃
イオリは急ぎ足で廊下を歩いていた。


行き先は竜王陛下の部屋。


『直ぐにお目にかかれればよいのだけど。』


足同様に、イオリの頭の中もフル回転で動いている。


シリュウを王妃になんかさせない、という強い思いだけが、イオリを突き動かしていた。


---ハクリュウの部屋。


ハクリュウの部屋は広く、とても豪奢に彩られている。


豪奢ではあるが白を基調に統一されているため、清潔感のある高貴な豪華さであった。


ハクリュウはいつも、窓際に置かれた真珠色の椅子に座るのを、定位置としていた。


しかし最近はその定位置を、ふかふかの大きなソファーに移動させた。


ヤヨイを自分の隣に座らせたいが為である。

< 176 / 279 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop