竜王様のお気に入り
「竜王陛下。
おくつろぎの所、大変申し訳ありません。
至急お耳に入れたいことが。」


控えの間の、一際豪奢な白いソファーに腰を下ろし、ハクリュウは眉を潜めた。


こんな風に余裕のないイオリは珍しく、良からぬ話だという事は、聞かなくても分かったからだ。


「何事だ?
コウリュウに、何か言われでもしたか?」


「はい。
言うも何も・・・コウリュウ様は既に、動かれています。
竜王陛下に王妃を迎え、退任を阻止なさるおつもりなのです。
先程シリュウ様とお会いになり、シリュウ様は王妃になる事を快諾しておられました。
優秀なコウリュウ様の事です。
準備は直ぐに整ってしまうでしょう。」


「・・・・・!?
コウリュウめ・・・余計な事を!」


ハクリュウは苦虫を噛み潰したような表情で、イオリから顔を背けた。


「竜王陛下、いかがなさいますか?」

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