竜王様のお気に入り
しばらくの間をおいて、ハクリュウは少し困ったようにイオリを見た。


「竜王陛下?
どうかなさいましたか?」


イオリはハクリュウのいつもと違う、威厳の消えた表情に気がついた。


ハクリュウのこんな表情を引き出すとは、本当にヤヨイは大した娘だ。


「いや・・・。」


ハクリュウは口ごもった。


「遠慮なさらず、何でもお言い付け下さい。
竜王陛下とヤヨイ様のお力になりたいのです。」


イオリは、自分の口から出た言葉に驚いた。


竜王陛下に対して、こんな口のきき方をするなんて。


本当なら、殺されてもおかしくはない。

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