竜王様のお気に入り
バタンと扉が開いて、ヤヨイが顔を覗かせた。


「どうしたの?」


「あっ・・・ヤヨイ様!
い・・・いえ・・・!
少し取り乱しました。
申し訳ありません。」


イオリは頬を紅潮させて謝った。


「本当に?
ハクリュウに、何かされたんじゃないの?」


イオリに、覆い被さるような格好になっているハクリュウを見て、ヤヨイは怪訝そうに質問した。


「我は何もしておらぬわ!」


濡れ衣を着せられて、ハクリュウは憮然としたが、本気で怒っているのではない。


そんなのは一目見て分かる程、ヤヨイに送るハクリュウの瞳は優しい。


「それよりイオリ。
頼んだぞ。」


そう言い残し、ハクリュウはヤヨイを促して部屋の中へ消えた。

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